私と彼の距離
まだ付き合い始めて日が浅い、外でデートをしている時、私達は何故か微妙な距離感を保ったまま、横に並んで歩いている時の事。
私は彼と手をつなぎたい。なんて淡い願望を持っていました。しかし、私は「照れ屋」なんて可愛い性格は持ち合わせていなかったけど、なんとなく彼と手をつないだりする事が、悪い事のような、嫌がられるような行為に思えて、出来ずにいました。
チラチラと横目で彼の横顔を見ながら歩く私。それに気付かない彼。距離は埋まる事はなく、対向からくる人をよけたりしながら歩いていると、彼との距離が、さらに離れてしまうのでした。
距離が離れるたびに小走りに彼の元に近寄る私は、何故か少し落ち込んでしまって、そんな気持ちを振り払おうと明るく彼に話しかけます。それを彼はいつものように聞いてくれて、楽しい気分になってくると対向から人が歩いてくる。なんて、つくづく運の悪いこの日の私。せっかくのデートなのに・・・。と落ち込まずにはいられませんでした。
落ちていく気持ちと共に、やや歩くペースも遅くなり、そんなタイミングで対向から5~6人位のグループがやって来て、また彼との距離が空いてしまい、私は急いで彼の元に戻ろうとします。そんな私を、さすがに彼も気付いたのか立ち止まって私の事を待っていてくれました。
その行為でちょっと嬉しくなった私は、「ごめんごめん、待たせちゃって・・」なんて笑って誤魔化していると、彼から「ん」と手を差し出されました。私が「え?」と聞き返すと、今度はなにも言わず私の手を掴んできました。そしてそのまま歩き出す彼に、私はすっかり混乱してしまって、「えっ、ちょっ、なに?」と彼に問いかけます。彼は前を向いたまま、「人が来るたびに離れられたら困る。ちゃんとついて来なさい」と言われました。
まさか彼から手をつないでくれるなんて思ってもなくて、本当に驚いてしまったけど、彼とつないだ手のひらから伝わってくる体温と優しさに、私の心はポカポカと暖かくなるのを感じるのでした。